ロータス・エリーゼ向け
「スーパーノーマル」基本メニュー


 多くの人々に親しまれているロータス・エリーゼは、近代スポーツカーの代表と言えるアルミモノコックフレームにFRPの外装の採用等によって、かなりの軽量に仕上がっている。サーキットでのスピードも申し分なく、その上でそのまま家路に着ける、ある意味、名車と言える仕上げになっている。
 それゆえ、サスペンションは、レーシングカーそのものタイプが装備されているのだが、車全体のセッティングは、一部公道走行での安全確保の意味が込められている、一つはロードクリアランス(一般道での走破性確保の為の車高)であり、もう一つはリバースステア(オーバーステア)を生まない“サスペンション”と“ブレーキ”の味付けだ。
 その味付けとは リヤにスタビライザーを持たず、ブレーキバランスは極端にフロント寄りで、リヤの効きは鈍くセットされていることだ。これによって、下り坂での旋回制動(コーナリング中のブレーキング)でもリヤが流れ出す事はない。
 そうなると操縦性は終始アンダーステアーで、ブレーキはフロントのロックが早くなり、残念ながらミッドシップカーの売りである制動性能が、かなりスポイルされている事は否めない、そこでスーパーノーマルコンセプトでは、まずエリーゼのブレーキバランスを考えてみた。

1.ブレーキ(ABSなし車)

■エリーゼ純正ブレーキのインプレッション
 エリーゼは純正ブレーキシステムのまま全開走行をすると、フロントタイヤのロックが早い、その時の制動性能はミッドシップカー本来の実力と思える程の力強さを感じない、周回を重ねてパッド温度が高くなってくると、とたんにペダルストロークは深くなり、ペダルフィールはスポンジーになる、さらにロックコントロールが極端に難しくなり、かなり怖い。

■エリーゼのブレーキシステム
 エリーゼのブレーキシステムを見ると、リヤブレーキのライン(配管)にPバルブが存在しない、リヤブレーキのロックをコントロールする目的のPバルブが元々不要と言う事は、このままでもリヤがロックしない、ロックさせられるようなブレーキ容量を持ってないと言う事になる。

■エリーゼのブレーキバランス
 次に前後バランスで見ると極端にフロント寄りのブレーキバランスと言える、だがしかしその事が分かったとしても、これがまったく調整のしようがなく手が出ないのが実情だ(大改造は調整とは言わない)。

■エリーゼ純正ブレーキのさらなる問題点
 ここまでの内容をふまえて、エリーゼのブレーキの問題点を改めて解説すると次このような事が言える。
 例えば極端にブレーキがフロント寄りの車を走らせると、どんな事になるのか? 当然ながら働きの大きいフロントPADの温度は周回ごとに上昇する、それに対してリヤブレーキはどうか?こちらは働きが小さい分発熱量も少なくPAD温度の上昇は遅い。
  ましてエリーゼの場合、フロントとリヤのディスクローターが共通(同サイズ)なので、ローターの熱容量はリヤブレーキの働きに対して大きい事もあり、結果としてリヤPADの温度上昇はきわめて遅い。(PADの温度依存性)
 簡単に言うと、フロントPADはまたたく間に温度が上昇しPADの実力領域に入るが、リヤPADはその温度域に達していないからPADの摩擦係数は低いままでPAD自体の性能も発揮できない、フロント寄りのバランスが更にフロント効きになり、前後輪で得られる制動力はかなりレベルの低い状態と言える、そしてこの時にフロントタイヤが簡単にロックしてしまう症状が出ることになる。
(エリーゼ純正ブレーキの実力)
 この時ドライバーが感じているのは、フロントのタイヤロックが異常に早いのと、その時の制動力の無さ(力強い減速感が無い)で、前後バランスは前よりで尚且つリヤブレーキが働いていないも同然だからしょうがない・・・。

■エリーゼブレーキの改善策
 それでは大改造ではなく、ブレーキの前後バランスをチューニングする事は出来るのか?例えば、スポーツパッドで摩擦係数の違うものを前後で組合わせて使う方法がある、これならある程度はリヤの効きを向上させる事が出来る。

■再度温度依存性の話
 パッドの摩擦係数違いを前後に使い分ける方法はすでに試されている方がいるかもしれない。
 では簡単に期待する効果が得られるか?となると厄介な事に、先の説明にもあった様に、ほとんどのPADが使用温度に影響を受ける温度依存性を持っている事を考慮しなければいけない、傾向としては摩擦係数の高いPADほど温度依存性が高い。
 つまりはリヤに摩擦係数の高いPADを組み込んだとしても、温度上昇は遅く、フロントとのバランスを取る、又は保つのは簡単ではない。

■PAD探し
 では残された道は、PADの温度依存性の低いものを探すことだ、温度依存性が低く同じメーカーのもので、摩擦係数違いのものが組み合わせできればその可能性が出てくる。
 ここで、シンタードメタルPADで0〜1000℃をカバーという格好のPADが見つかった、しかも摩擦係数が3種類用意されている願っても無いPADがあった。

■実車でのテスト
 早速PADを手に入れ実力チェックしてみる、残念ながらエリーゼ用の設定が無かったので他車でテストすることになった。
 カタログデータ通りの性能が体感できるかが問題だが、効き・扱い易さ・コントロール性・温度依存性などテストした結果、ブレーキの鳴きが少し出る事を除けば充分に効き、コントロール性も良好でエリーゼで使用出来る可能性の確認ができた。
 さらに、サーキットでのフルアタックもテストし、かなりハードなテストも行ったが良好だった。

■エリーゼ用のPADをオーダーする。
 エリーゼの前後ブレーキバランスを考慮しリヤにもっとも摩擦係数が高いRC8(0.65)の摩材のものをオーダーし、フロントにRC6(0.55)とRC5(0.4)の組み合わせを考えた。

■エリーゼに装着&テスト
 フロントにRC6(0.55)、リヤにRC8(0.65)の組み合わせでテスト走行を行なってみた、ペダルタッチも格段に良くなり(摩材の硬度が高い!!)、フロントのロックコントロールが簡単に出来るようになった。
 また、リヤが浮き上がって効いていない感じだったのが、後からも引かれるようになり、持ち上がり感が減った、明らかにリヤの効きの向上が実感できる様になってきた。
 テストでその優位性が確認でき前後バランスが改善できた、あとはサーキット走行を待つばかり、基本の組み合わせはフロントRC6(0.55)・リヤRC8(0.65)、これに対して・サスペンションセッティング・タイヤ選択・ドライビングスタイルの違いなどに合わせて、フロントPADを選択していけば前後ブレーキバランスの改善ができる、フロント用にRC5(0.4)RC6(0.55)が用意されている。

■エリーゼに使用時の注意点。
 PADの実力として1000゚CまでOKとなると、簡単にはフェードが起きない、そのまま走り続けていると熱で回りに影響が出る可能性があり、あちこちに熱対策が必要になる。


PADの詳細は こちら のPDFファイルをご参照ください。
外車用 PADの適応は こちら のPDFファイルをご参照ください。